苦痛でも止められない依存症
うつ病患者の『依存症』という症状が、決して「大きな快楽ではない」事を説明しました。
それが楽しくて楽しくて仕方ないから離れられないのではないという事を伝えたかったんです。
多くの人は、依存症という症状そのものに「薬物的な中毒的な要素から抜けられない」物と「快楽から抜けられない」と漠然と信じている人が多いと思ったからです。
でも決してそういう訳でもないというもう一つの症状は、苦痛でも止められない依存症です。
先ほどは「少なくとも嫌なことではない」と書きました。
生きている中で、起き上がることも・トイレに行くことも・食事をすることさえ『嫌でたまらない』ことさえあるうつ状態の中で、少なくとも「嫌ではない」ので、そこに心地よさを感じてしまうというものでした。
ですが実は「もう止めたい・もう嫌だ」と、その物に苦痛を感じていても止められない依存症があります。
例えて言うなら、私の読書依存症もそういう面がありました。
勿論本来読書は私の好きなことでしたから、読書が出来るということだけでも私にとって嬉しいことではありました。
また現実を忘れて話しに没頭できるという点でも、私にとって心地よさを感じていたのは事実です。
しかし皆さんは何十時間もぶっ通しで読書をしたことがありますか?
読書と言うのは案外疲れる作業だと言うことをご存知でしょうか?
自宅ですからベッドに寝そべってでも、どんな格好をしてでも出来るのですから一見「楽な作業」と思われるでしょう。
しかし本を持ちながら、ページをめくりながら長時間本を読むのは案外重労働なんです。
何十時間も&それを何ヶ月も続けると、目は疲れるし肩は凝るし、背中やお尻等様々なところが痛くなります。
頬杖付いて読めば最初は楽でも、徐々に腕や顎が痛くなりますし、寝そべって読めば最初はお尻や背中が楽になりますが徐々に身体の変な部分が痛くなってきます。
勿論その都度読む姿勢を色々変えるわけですが、それらの姿勢はむしろ身体の節々や筋肉を疲れさせるだけです。
そして何より目の疲れはどんどん激しくなっていきます。
ですから毎日毎日、起きたばかりはいいですが10時間以上も読み続けるととても疲れが出てきます。
今日はもう止めたい・早く寝なければ・疲れたから止めたいと思うのです。
それでも止められない。
時間は幾らでもあるのだから、明日でもいいのに止められない。
一度読んだ本だからストーリー展開も全て分かっていて、続きが気になって止められない訳ではないのです。
それでも止められない。
依存症とは、そんな風に「自分の意思で止められない」怖いものなのです。